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山下 裕太特定社労士・15年実務

中小企業退職金共済(通称:中退共)は、独立行政法人が運営する中小企業向けの退職金制度です。退職金の請求は会社経由ではなく、退職者本人が直接「中退共」に請求します。手続きを知らずに請求漏れになるケースが少なくありません。本記事では、請求の流れ・必要書類・受取方法の選択・通算制度・落とし穴までを完全解説します。

中退共とは

加入企業の規模条件

業種 従業員数 または資本金
一般業種(製造業・建設業等) 300人以下 3億円以下
卸売業 100人以下 1億円以下
サービス業 100人以下 5,000万円以下
小売業 50人以下 5,000万円以下

請求の流れ

STEP1:会社から「退職金請求書」を受領

退職時に会社が「中退共」に届出を行い、本人宛に「退職金(解約手当金)請求書」が郵送されます。通常は退職後1〜2か月以内に届きます。

STEP2:請求書を本人が記入

STEP3:中退共本部へ郵送

所定の住所(東京都豊島区)へ書類を郵送。会社経由ではなく、本人が直接送付します。

STEP4:振込(請求から約3〜4週間後)

指定口座に退職金が振り込まれます。一時金は1回、分割は5年または10年で年4回(3月・6月・9月・12月)の振込。

請求できる期間(時効)

退職金額の計算

掛金月額 × 加入期間に応じた支給乗率で計算されます。短期間の場合は元本割れの可能性もあります。

加入年数 掛金月額1万円の場合の退職金(概算)
1年 0円(24か月未満は支給なし)
2年 約24万円(元本相当)
5年 約63万円
10年 約128万円
20年 約280万円
30年 約460万円
40年 約650万円

※ 利率動向により変動。最新の支給乗率は中退共HPで確認できます。

受け取り方の選択

受取方法選択の判断軸

通算制度(重要)

転職先が中退共加入企業の場合、過去の加入期間を通算できる「通算制度」があります。退職金を受け取らずに通算する選択肢もあるので、転職先で再加入予定の場合は要確認です。

「特定退職金共済(特退共)」との違い

商工会議所等が運営する「特退共」とは別制度です。両方加入している場合、それぞれ別個に請求が必要です。退職時に会社からの説明を必ず確認してください。

よくあるトラブルと対処法

Q1. 請求書が届かない

退職後2か月経っても届かない場合、中退共本部(コールセンター 03-6907-1234)に直接問い合わせ。会社が届出を怠っている可能性もあります。

Q2. 会社が掛金を支払っていなかった

退職後に発覚した場合、中退共から会社に督促可能。未納分があれば未納分は給付対象外ですが、納付済み分は受け取れます。

Q3. 会社が倒産した

中退共は事業主の経営状況に左右されない安定した制度です。会社倒産後も、加入記録があれば通常通り請求できます。

監修者からのアドバイス

中退共の請求漏れは、退職時に「会社が手続きしてくれる」と思い込むことから起きます。しかし会社の役割は「中退共への退職届出」までで、退職金の受取請求は本人の責任です。退職後1〜2か月経っても請求書が届かない場合、中退共本部(コールセンター 03-6907-1234)に直接問い合わせてください。

また、転職先が中退共加入企業の場合、通算制度を活用すれば長期勤続扱いで退職金が大幅UPします。20年以上の加入期間を通算できれば、退職金が200万円以上多くなる事例もあります。転職を考える方は、転職先の中退共加入有無を必ず確認してください。

掛金は事業主負担で、毎月給与から引かれません。「自分が掛金を払っている」と勘違いして請求しないケースもあるので、加入会社で勤務した経歴があれば、必ず中退共HPで加入記録を確認しましょう。

請求書が届かない・受取方法に迷う場合は、無料相談でサポートします。