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佐藤 あき税理士・CFP

確定給付企業年金(DB)から退職する際、「脱退一時金」として一括で受け取るか、「年金として将来受給」するか、または別の制度に「移換」するかの選択を迫られます。本記事では、それぞれの選択肢を詳しく比較し、判断軸・シミュレーション・落とし穴を解説します。

確定給付企業年金(DB)とは

3つの選択肢

選択肢1:脱退一時金として一括受取

勤続期間に応じた一時金を退職時に受け取る方法。

選択肢2:年金として将来受給

制度に残し、定年後等に年金として受給する方法。

選択肢3:他制度への移換

iDeCoや企業型DCに移換して運用継続する方法。

判断のための4つの視点

1. 必要な手元資金

住宅ローン残高、子の教育費、生活防衛資金が不足するなら一時金が現実的。

2. 他の退職金との合算

会社退職金や中退共と合算して退職所得控除を超える場合は、年金受取で分散したほうが税負担を抑えられる。

3. 健康状態と寿命予測

年金は終身受給だと長生きするほど有利。短命リスクがあるなら一時金が有利。

4. 投資知識・リスク許容度

iDeCoに移換して自分で運用する自信があれば、長期リターンを狙える。運用に自信がなければDB継続のほうが安全。

シミュレーション例

勤続25年・DB残高700万円・55歳退職のケース:

選択肢A:全額一時金

会社退職金1,500万円と合算 → 退職所得控除(25年勤続)1,150万円超過 → 課税対象1,050万円の半額に課税 → 税負担 約110万円。手取り 2,090万円

選択肢B:年金受取(10年分割・年70万円)

会社退職金1,500万円のみ退職所得 → 控除内で非課税 → 1,500万円フル受取。
DB年金部分は雑所得として10年に分散 → 公的年金等控除(55歳〜は年60万円)で大半が非課税。手取り 約2,150万円

選択肢C:iDeCo移換 + 65歳一時金受取

10年運用で残高 約900万円(年利2.5%想定) → 65歳で会社退職金とは別年に受給 → 控除フル活用。手取り 約2,300万円(運用次第)

選択肢D:終身年金受取

60歳から月額3万円終身受給。85歳まで生存で受給総額900万円超。長生きするほど有利

制度解散リスク

DB制度は会社が運営しているため、会社の経営状況により制度解散・統合のリスクがあります。

移換先の比較

移換先 特徴 向いている人
iDeCo 運用商品自由・運用継続 運用知識ある人、若年退職者
転職先の企業型DC 転職先で継続加入 転職先がDC加入企業
企業年金連合会 無難な選択肢、終身年金可 運用に消極的、長寿希望

監修者からのアドバイス

DB脱退一時金の判断は、「会社退職金の受取年」と「DB受取年」をずらせるかどうかが手取り最大化の鍵です。退職所得控除は同一年に複数の退職金を合算するため、年をずらすだけで控除を倍使えるケースがあります。

また、移換先のiDeCoでは55歳以降の受取制限(10年継続加入要件等)があるため、年齢によっては移換が不利になることも。退職予定の3〜6か月前から戦略を立てることが理想です。

iDeCoへ移換する場合、運用商品の選択が重要です。退職時の年齢が55歳以上なら、リスクの低い元本確保型・債券型を中心に組み立てるのが定石。リスク取れる商品で大きな損失を出すと取り返せません。

制度規約は会社により大きく異なります。「終身年金OK」の制度もあれば「10年定額」しかない制度もあります。退職を検討し始めたら、まずDB制度規約のコピーを総務・人事に依頼してください。

個別ケースでの最適選択は、無料相談でシミュレーションします。