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佐藤 あき税理士・CFP

退職金には所得税・住民税がかかりますが、「退職所得控除」という大きな非課税枠があり、適切に活用すれば税負担を最小化できます。本記事では、勤続年数別の控除額・実際の手取り計算・退職金とDC(確定拠出年金)の併給戦略・「19年ルール」までを実例とともに解説します。

退職所得控除の計算式

勤続年数によって控除額が変わります。20年を境に計算式が変わる点が重要です。

勤続年数別の控除額一覧

勤続年数 退職所得控除額 備考
5年 200万円 40万×5
10年 400万円 40万×10
15年 600万円 40万×15
20年 800万円 40万×20
25年 1,150万円 800万+70万×5
30年 1,500万円 800万+70万×10
35年 1,850万円 800万+70万×15
40年 2,200万円 800万+70万×20

退職所得の課税計算

退職金にかかる税額は、控除後の半額(1/2課税)に対してのみ計算されます。これは「退職金は長年の労働の対価」という考え方からくる優遇措置です。

計算式:(退職金 – 退職所得控除)× 1/2 × 所得税・住民税率

例1:勤続30年・退職金2,000万円のケース

例2:勤続35年・退職金3,000万円のケース

例3:勤続10年・退職金500万円のケース

「退職所得の受給に関する申告書」の重要性

退職時に会社へ「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合、退職金全額に対して一律20.42%の源泉徴収が行われます。

勤続年数の数え方の重要ルール

退職所得控除の勤続年数は、1年未満の端数も切り上げになります。これが大きな節税効果をもたらします。

「19年ルール」の落とし穴

会社の退職金とDC(確定拠出年金・iDeCo)両方を受け取る場合の重要ルールです。

「特定役員退職手当等」の特例

役員として勤続5年以下で退職する場合、1/2課税の優遇が受けられません。

同一年に複数の退職金を受け取る場合

会社退職金とDC一時金を同一年に受け取った場合、両方を合算した金額に対して、勤続年数(長い方)の控除が適用されます。

監修者からのアドバイス

退職日を「年度末ギリギリ」に設定すると、勤続年数の切り上げで70万円控除が増えるケースが多々あります。退職日の調整余地があれば、必ず勤続年数を確認してください。3月31日退職と4月1日退職で、控除額が70万円違うこともあります。

また、退職金が控除額を超える場合、「一時金で受け取る」「企業年金として分割受け取る」「両者の併用」で手取り額が大きく変わります。勤続30年・退職金2,000万円のケースでは、最適な受け取り方で手取りが180万円以上変わることもあります。

退職金規程は会社によって様々で、退職時期を選ぶ余地がある会社では数百万円の差が生まれます。退職を検討し始めたら、まず就業規則と退職金規程を取り寄せて確認することをお勧めします。

最適な受け取り方は、退職金額・他の所得・年金開始時期で変わります。個別シミュレーションは無料相談で。