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鈴木 一郎社会保険労務士・1級FP

iDeCo(個人型)・企業型DC(確定拠出年金)の受け取り時に、「一時金」「年金」「併給」の3つの選択肢があります。それぞれ税制が異なるため、選び方次第で手取りが100万円以上変わるケースがあります。本記事では、各選択肢のメリット・デメリット・シミュレーション・「19年ルール」の戦略まで踏み込んで解説します。

3つの受け取り方の概要

受給開始可能年齢

一時金受取のメリット・デメリット

メリット

デメリット

年金受取のメリット・デメリット

メリット

デメリット

併給のシミュレーション例

50歳でDC残高800万円・60歳から受給開始、会社退職金1,500万円・勤続30年のケース:

パターンA:全額一時金(DC800万円を60歳で)

会社の退職金1,500万円と合算 → 退職所得控除1,500万円を超過 → 課税対象400万円 → 税負担 約60万円。手取り 2,240万円

パターンB:DC全額を年金10年分割(年80万円)

各年の年金80万円 + 公的年金 → 雑所得として課税。10年累計の税負担 約45万円。手取り 2,255万円

パターンC:併用(DC一時金300万円・残500万円を5年年金)

退職所得控除に収まる + 年金部分も控除内 → 税負担 約20万円。手取り 2,280万円

パターンD:DCを60歳で一時金 + 退職金を65歳に受給(5年ずらし)

DC側で退職所得控除800万円使い、5年後に会社退職金で控除1,500万円再使用 → 税負担 約20万円。手取り 2,280万円。受給時期をずらす最強のパターン。

このケースではパターンC・Dが最も手取りが多い結果に。

「19年ルール」の落とし穴と戦略

会社の退職金を受給した後にDCを一時金受給する場合、退職金受給から19年以内だと、勤続年数のうち重複期間分の退職所得控除が使えません。

NG パターン

OK パターン(戦略的)

受給期間の選び方

年金受取を選ぶ場合、5〜20年の範囲で受給期間を決めます。長くするほど分散効果は高まりますが、各年の受給額は減ります。

運用商品の選び方(受給開始まで)

受給時期が近づいたら、運用商品をリスク低減させることが重要です。

監修者からのアドバイス

iDeCo・企業型DCの受け取り戦略は、会社の退職金との順序、勤続年数、他の所得状況で最適解が変わります。「とりあえず60歳で全額一時金」という安易な選択で年100万円以上の税負担増になっているケースを多数見てきました。

特に重要なのが、「会社退職金とDC一時金を同じ年に受け取らない」という鉄則です。同一年だと退職所得控除を1回しか使えませんが、年をずらせば2回使える可能性があります。退職金規程と勤続年数を踏まえて、最適な順序を5年以上前から計画してください。

受給開始の3〜5年前から戦略を立てるのが理想です。無料相談で個別シミュレーションをご提供します。